人生掛け流し

人はみな

なるべく多く得たい

得たものは失いたくない

 

エゴという名な防護壁が

流れてくるもの達を堰き止める

 

美しく散りゆく葉っぱ達は

ラヴェルボレロのメロディーに乗って

水面を優雅に滑り、舞を踊る

 

一定のメロディがだんだんといろんな音色を重ね

重厚なハーモニーを奏でる

たった一人から始まった小さなドラムが

だんだんとその鼓動を高め

仲間達が集まってシンクロを起こし

ムーブメントを創りだす

 

タンタタタ タンタタタ タンタタタ

タタタ タタタ

 

永遠に続くと思われる

重厚な旋律と規律が保たれた行進

 

しかし

あんなに長く続いた旋律が

突然、転調して崩れ出す

突然、終わりを迎える

 

舞うことができなくなった葉っぱ達は

動揺し、水中へと落ち着いていく

水中に積もり積もった葉っぱ達は

清らかだった水を淀ませていく

 

盛者必衰のごとく

 

いつまでも続かない

いつまでも同じでは

必ずエンドクレジットを迎える

 

地の時代を生きてきたもの達は

ひとつひとつ旋律を重ねていけば

すべては報われるときがくると信じている

 

しかし

世の中はインターネットテクノロジーによって

壁という壁が崩れ落ち

フィールドの境界線が意味を持たない時代となった

 

溜め込んでいてはいけない

 

秋の美しい紅葉の中を次から次へ

流れ落ちる新鮮な温泉を浴びて

淀みきった心身に輝きを取り戻そう

 

人生掛け流し

 

掛け流されても

自分の中に

智慧というフィルターがあれば

必ず感じるものがあるだろう