天地転生

いま見えている世界は

煌びやかに輝いているだろうか

 

いま見えている世界は

澱んで曇っているだろうか

 

同じ景色を見ているつもりでも

全然違う世界がそれぞれ存在する

 

みんな同じで横並びの

みんな違ってバラバラの

縦軸と横軸が織りなす世界

 

空間と時空を超えたキャンバスに

過去と未来が交錯している

 

我々は今を生きている

過去もない、未来もない

有限の空間と時間の山河の上に

特にバランスを崩して投げだされそうになりながら

必死に立ち続けている

 

勇気と希望のオールを漕いで

光のある方へ

 

顕在する世界は有限だが

潜在の世界

人々のココロの中

無限に広がる小宇宙

 

制限が無い世界では

不可能なことは何もない

 

母親の羊水の中で

プカプカと浮きながら

 

お腹の外から聞こえてくる

意味を知らない言語

意図がわからない音楽

 

お腹の外から伝わってくる

たくさんの人達の温かさ

 

波動の世界は

共振共鳴して伝わり

世界と世界を繋げている

 

やがて

羊水からの脱出の時刻(とき)

人生最大の苦しみを感じる

 

居心地が良かったゆりかごから

ジェットコースターのように

産道の

螺旋階段を滑り落ちていく

 

潜在の無限の小宇宙から

顕在の有限の娑婆世界に

 

孤独の旅を終えた赤ん坊は

たくさんの人々から笑顔で迎えられる

 

言葉や意味を覚えていく

できることが増えていく

 

だが

その過程で

たくさんのできないことを知る

 

無限だった脳内の世界が

有限の娑婆世界に置き換わっていく

 

社会はヒトとヒトとが

関わり合いながら

最小公倍数の結晶を作っていく

 

結晶が積もり積もってくると

固まりがドンドン固くなり

がんじがらめになっていく

 

むかしむかしは

人のココロの世界

無限に広がる世界が

あんなに簡単にアクセスできたのに

 

アクセス経路が詰まっていく

 

今も昔に変わらぬ青空

はるか昔の世の人々が眺める景色

 

春夏秋冬

繰り返される季節の移ろい

同じ周期でスイングしている

 

人は必ず死ぬ

そして

黄泉の世界から復活して

また人生を歩きはじめる

 

今の人生は一度しかない

だからこそ

遥か長い遺伝子の螺旋階段によって

過去からの贈り物を受け取り

無限の可能性を信じていこう

 

昔から変わらない音色達が

異なる世界を繋ぐ架け橋となる